健康保険の給付
健康保険では、被保険者とその家族(被扶養者)が病気にかかったり、けがをしたり、出産をした場合および死亡した場合に、医師の診療を提供したり、定められた各種の給付金を現金で支給します。(業務中におこった事故や、業務に原因があると認められる病気やケガを除く)
この場合の、診療を提供したり給付金を支給することを保険給付といいます。
年齢別の給付割合
病気やけがに対する保険給付の割合は年齢により異なります。
義務教育就学前 | 8割 | |
---|---|---|
義務教育就学後~69歳 | 7割 | |
70歳~74歳 | 所得区分により8割または7割 | |
75歳以上 | 所得区分により9割、8割、7割 |
現物給付と現金給付
病気やけがをしたとき、保険証を提示すれば、一部負担金を支払うだけで医療を受けることができます。この自己負担金以外の医療費は健保組合が負担します。これを「現物給付」といいます。つまり、医療というサービスを現物で給付するという考えです。
また、病気やけがなどで会社を長期間休んだときに生活費の補てんとして支給される手当金や、出産に際して支給される一時金や手当金など、健保組合から現金で支給される給付があります。これらを「現金給付」といいます。
法定給付と付加給付
健康保険法で決められている給付が法定給付で、全国健康保険協会でも健康保険組合でも共通して支給されるものです。
付加給付は、それぞれの健康保険組合が独自に行う給付で、法定給付に上積みされます。
もっと詳しく
- 健康保険でかかれないとき
-
- 仕事や日常生活にさしさわりのないソバカス、アザ、ニキビ、ホクロ、わきがなど
- 回復の見込みがない近視、遠視、乱視、斜視、色盲など
(ただし、9歳未満の小児の弱視・斜視等治療用眼鏡・コンタクトレンズは除く) - 美容のための整形手術
- 健康診断、生活習慣病検査、人間ドック
- 予防注射、予防内服
- 身体の機能にさしさわりのない先天性疾患
- 正常な妊娠・出産
- 経済的理由による人工妊娠中絶
- 給付が制限されるとき
-
次のようなときには、健康保険制度の健全な運営を阻害することになりますから、給付が受けられなかったり、一部を制限されることがあります。
- 故意に事故をおこしたとき
- けんか、よっぱらいなどで事故をおこしたとき
- 正当な理由もないのに医師の指示に従わなかったとき
- サギ、その他不正に保険給付を受けたり、受けようとしたとき
- 健康保険組合が指示する質問や診断などを拒んだとき
なお、罰則的なものとは別に、保険給付を行うことが事実上不可能だったり、他の法令が優先するなどの理由により給付が制限されることもあります。次のような場合です。
- 少年院に入院させられたとか、監獄に拘禁されたとき
- 感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律など他の法令により、国または地方公共団体の負担で療養費の支給や療養が行われたとき
- 給付を受ける権利は2年
-
健康保険の給付を受ける権利は、2年で時効となります。現物給付については、時効は問題となりません。現金給付についてだけ問題となります。たとえば、出産育児一時金について請求するのを忘れていると、2年たったときに時効となり、権利がなくなってしまいます。
健康保険の給付を受ける権利は、他人にゆずったり、担保にしたり、差し押さえたりすることはできないことになっています。